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2007.02.27

Jammingについて考える

ロシアが約15年ぶりに「当時のJamming送信用として使われていた送信機の整備を行う」と発表したニュースは「ロシアの声」のリスナーの間でも心配の種になっていたようで、先週の放送の中でもこの件についての質問が読まれていました。放送の中では、Jamming送信機の整備はあくまでも「究極の事態」における電波戦のためのものという政府の説明がアナウンスされていましたが、旧ソ連時代の猛烈なJammingを知っている者にとっては、「また、アレが復活するのか?」と心配になってしまうのは致し方ないことなのかもしれません(苦笑)。
こんなことに触発されてJammingについて考えてみました。(少々長くなります _(._.)_ )

[Hate Radio (*1) に対する対抗手段としてのJamming]
R.NetherlandsのReacting to Hate Radio ~Counteracting Hate Radio にもありますが、Jamming自体は Hate Radio に対抗しうる手段(ただし、あくまでも"Negative"なものとされていますが)として取り上げられており、Jammingそのものを簡単に「邪悪な存在」として定義する訳にはいかないようです。上記の記事には近年の戦時下(コソボを巡るユーゴスラビア紛争)に於いてNATO軍(と、言うよりは米軍)の Jamming で地元の放送がほとんど置換されてしまったと言う記述がされていますし、有名な1994年のRwandaのGenocideを煽動した悪名高きRTLM(*2)の影響を排除するために、国連軍がJammingをかけて対抗したという記述があります。(*3)

[他国の放送を妨害するJamming]
しかしながら、我々になじみが深いのは諸外国の放送を自国民に聴かせないことを目的としたJammingですね。100歩譲ってこれらのJammingを送信している主体が「諸外国の放送波は"Hate Radio"であるとして定義しているのか?」と考えてやっても(苦笑)、自国で使われている言語の放送に対してのみJammingを送出していることから考えるとやはり不自然です。Jammingを送信している主体にとって諸外国の放送を聴かれるとまずいことがあるから、隠しておきたいことがあるから妨害しているのであり "Hate Radioに対する対抗手段としてのJamming" とは区別しなくてはならないものです。妨害波を送信するために無駄に電力を消費し、付近の周波数で放送しているまったく関係のない放送局に対しても悪影響を及ぼすこれらの電波はまったく持って迷惑沙汰です。
また、こうしたJammingが存在すること自体、これらの国の国民にとってもこれ以上ない侮辱を受けているものではないかと考えています。諸外国で報道されている内容について、それが正しいものか誤っているものなのかを自分で考え、判断する機会を奪われているのですから...

[そして、現在、未来は...]
現在におけるJamming大国は皆さんよくご存じのアジアの二カ国ですが(*4)、いつまでこの状況が続くのでしょうか。楽観的に考えているわけではありませんが、一つだけ気に止めておかなくてはならないことは、かつてこの手のJamming大国だった旧ソ連でさえ体制が変わってしまったと言うことです(*5)。「いつまでも支配する側の都合がよい社会が続くわけではない。」これはこれまでの歴史が証明していることです。
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*1)Hate Radioは単なる「反体制」的な放送のことではなく、正義の名の下に戦争や大量殺戮、"ethnic cleansing"(民族浄化)を支持し煽動する放送のことを言います。特に欧米諸国は第二次大戦のナチスドイツの暴走を許した反省から、"ethnic cleansing"と言う行為に対して非常に敏感です。
詳細はこちら
*2)Radio-Television Libre des Mille Collines. この放送局の主催者は現在も500万ドルの報酬金を掛けられて国際指名手配中です。
*3)もっともJammingをかける対象が"Hate Radio"なのかどうかは人間が判断することなので、立場によっては異論が出てくるとは思います。また、世界各地の紛争地域に於いて必ず登場してくる EC-130 Commando Solo を考えれば、世界で最も高いJamming技術を有している国はやはり米国なのでしょう。
*4)その他にもJammingを流している国はありますが、電力を無駄に消費させている比率を考えればこれらの国以上のところはないでしょう。また、最近中国はアフリカ諸国に対して短波送信機のメンテナンス技術を提供すると同時にJamming送信技術もいっしょに提供しているという噂もあります。
*5)もっとも、旧東欧圏~旧ソ連体制がドミノ倒し的に崩壊したことが、中国の国際体制に対する姿勢の変化をもたらしたと言う指摘がされているのはわかっているつもりです。

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コメント

NHKスペシャルで観たルワンダの扇動放送、今でも耳にこびりついてます。
ラジオ放送が兵器になる瞬間でした。あの頃のラジオ放送はオ○ムのとか、ネガティブなイメージ強いです(BCLから離れてた時の気分だったからかもしれません・・)。ジャミングに良い悪いの概念があるのを、この記事で知らされました。難しい問題ですね。

投稿 Shin | 2007.03.01 14:30

Shinさん、駄文にコメントいただきありがとうございます。ルワンダの件は私も同じ番組を見ていた覚えがあります。組織的な証拠隠滅のため当時の放送の録音は、無くなってしまっているようですが NHK には残っているのでしょうか。
まぁ、この一件は別格にして特に戦時下におけるジャミングって言うのは善悪の判断は難しいと思いますが、こんな電波が不要になるような世界ができると良いんですけれどね(笑)。

投稿 h.toku | 2007.03.02 00:14

tokuさん
以前からのリンクを整理していたら、こんなものが有りました。
http://www.radiojamming.info/
http://www.okupatsioon.ee/english/mailbox/radio/radio.html
色々な資料をネットで集めたのですが何処かでまとめて紹介しタイト考えています。
まだこのほかにも色々あったと思いますが整理しきれないでいます。

投稿 化石 | 2007.03.19 22:12

化石さん、資料の紹介ありがとうございます。www.radiojamming.infoは何度か立ち寄った覚えがあります。Media Networkにもここにある写真がありましたね。
また、どこかでジャミング関連の資料(エストニア送出)を日本語で読んだ気がするのですが思い出せません(笑)。貴重な資料だと思いますので、お時間のあるときにでもまとめて紹介していただくと幸いです。

投稿 h.toku | 2007.03.19 23:36

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